Archive for 2018.10

「おでん」から考える。

2018.10.21

いま、生まれてはじめて「おでん」をつくっています。
世田谷線の松陰神社駅付近に、評判の練り物屋さんがあるとのことだったので買ってきました。
 
つくりはじめるのが夕方過ぎでしたので、鰹節を長めに煮出して濃いめのつゆにしています。
そんで、今日の話のネタとして、おでんの思い出を考えていたのですが、これといったものがないことに気がつきました。
 
がんもどきが好きになったのはおでんから。
もち巾着が好きになったのもおでんから。
牛すじ煮込みの存在を認識したのはおでんから。
トマトのおでんを食べたときは驚いた。
 
ほらね、特に際立った思い出はないのです。
 
ないんですが、「〇〇が好きになった」「〇〇を認識した」きっかけが、おでんだったのがけっこうあることにも気がつきました。
 
がんもどき、もち巾着、たこボール、はんぺん、こんにゃく、ちくわぶ、玉子をつゆに溶かして食べること、などなど。
この材料が寄せ鍋に入っていてもいいはずだし、おでん以外の場所でも食べることはあったはずです。
それでも、心が動いたのは「おでん」だった。
普段の何気ないところから心を動かす商品を開発すること。
これが商品開発には必要ですが、こうやって考えると「おでん」って優れた商品なんだなー、と感心しました。

結局つかってる。

2018.10.20

以前、「stone」というテキストエディタ(文章を書くソフト)に慣れない趣旨の投稿をSNSにしたのだけれども、いま、この文章を「stone」を使って書いています。
そうです、ちゃっかり使ってます。
うっかり(?)愛用しています。
 
ぼくの遍歴を挙げていくと、Mac標準のテキストエディタ→ios標準のメモアプリ→Evernote→stoneでございます。
普段の仕事のメモはEvernoteですが、最近のアップデートで使いにくく感じてしまい、ブログのような文章の場合は、stoneを使うようになりました。
書いた気になってしまうのもよくはないなー、と思いつつ、「書くことに特化」しただけあって、余分なものがなくて書きやすいんです。
そうして、Evernoteのアップデートとstoneを比べて考えると、「営業の考え方(Evernote)」と「デザイナーの考え方(stone)」の違いがはっきりと現れるように感じます。
有料化のアップグレードを目立たせる必要性、とりあえず書き始めることよりも効率化のボタンを設置する必要性(誤ってクリックして書けない)……書くことを目的としたツールとして何を目指すのかが正直、いまのEvernoteからは感じられないのです。
だから、機械的なメモをするときに役立つツールになり、文章を書くツールではなくなりました。
 
それが、stoneは余計なものが一切ないために、書くことに向き合えるんです。
無料のツールが溢れる中、3,000円もするソフト。
しかも文字を書くだけのツール。
最初にお金を支払ってもらった後に、価値を提供する--提供する商品やサービスに自信がないとできないことです。
でも使ってみると、納得しちゃう。
こういうツールに触ると、デザイナーって経営に必要だよなーと感じるのです。
(メモアプリになって欲しいけど)

満面の笑みの動作つき。

2018.10.19

昨日、スマートフォンのメモを見ながら商品説明をする人のことを書きました。
その後、例の整体にも行ったのですが、ここの先生との違いをまざまざと感じたのです。
彼(整体の先生)のことは何度もブログに書いてしまったほど、おもしろい人だったのですが、悪いなと思いつつ、昨日の雑貨屋の女性と比べてしまったのです。
 
やっぱりね、彼のことをおもしろいと感じるのは、彼の話していることを彼自身が信じて疑わないところにあるでしょう。
 
「こうした方がいいですよ」
「集中したいときは、こうしたりね」
「調子がわるいときは、こうね」
 
これらを話しているときの彼の表情は、満面の笑みなんです。
こっちもつられて相槌を打っちゃうほどの笑顔で話してくるのです。
しかも、動作つきです。
早口すぎて聞き取れないと、もう一回、説明してくれて。
やっぱり、満面の笑みで。
しかも、動作つきです(2回目)。
 
もしかしたら、自信がないのを隠しているのかもしれませんが、そうやって斜めに見ない限りは、彼は自分の言っていることを、本当にいいことだと薦めているようにしか見えないのです。
強い言葉を使っていないのに、妙に信じてみようと思っちゃう。
おもしろい人だと思うんですよね。

3,300円のジャム。

2018.10.18

近所にできたオシャレ雑貨屋で買ったジャム。
その価格、3,300円。
値札をよく見ずにレジに持って行ってしまった自分を悔やむが、まぁ、ものは試しということで。
ちなみに一緒に買ったザルは、2,916円。
こっちはしっかりと値札を確認。
そう、ジャムの方が高い。
 
桃といちじくのジャムで、農薬も化学肥料も使っていないとのこと。
桃好きの恋人のために買ってみたけれど、逆に怒られるパターンですね。
 
それはさておき、店長らしい女性の話を聞いていて、気づいたことがあります。
このジャムの説明をするのに、スマートフォンを開いてメモを見ながら話をしていたのが、どうも心地悪かった。
何かと似ていると考えたら、打合せで自分の言葉で話さない人たちのことを思い出しました。
「自分の言葉でしゃべれ」
スマートフォンを見ながら、「〇〇にも合います。△△にも合います」と、女性は話してくれたが、何一つとして頭に入らなかった。
その後、お店のSNSを確認したら、このジャムのことが書かれていた。
 
若手によく説教をするけれど、何かを薦めるときは、自分が体験していいと思ったものだけを薦めないと、人は信じない。
少なくとも、ぼくは信じない。
どんなに拙い言葉でも、たどたどしい話し方でもいいから、自分の言葉で話せる人になって欲しい。
 
ジャムには悪いところはないので、何に合わせようか。
やっぱり最初は、米粉のパンケーキかな。
 

違いのわからない人がこだわる。

2018.10.17

ぼくの仕事で驚かれることのひとつに、「どっちでもいい」があります。
こういう仕事をしていると、小さなことにも口うるさく指摘をして、とことんこだわるイメージがあるのでしょう。
「違いのわかる人」を装うのにはうってつけです。
けれども、ぼくはこの逆に当たる「どっちでもいい」を頻繁に口にします。
 
多いのは、言葉尻です。
ライティングの大前提に「その」よりも「この」の方がいい、とか、
短い方がいい、とかありますが、
一点もののオーダーメイド製品をつくるようなサービスとは違い、概ね現代のサービスって似たり寄ったりなので、言葉尻で大きく差が出ることはないのです。
 
ただ一方で、「頑固」とも思われることもあります。
サービスの根幹から悪い方へ外れてしまうときです。
「うーん、危険だなー」と言葉を漏らすときがありますが、こういうときにぼくは根幹に戻そうとします。
 
根幹からずれない範囲のことであれば、たいていのことはどっちでもいいことなのです。
根幹なのか、枝葉なのかの違いがわかれば、もう十分です。
違いがわからない人が、枝葉の違いに囚われるのです。