Archive for 2019.2

ごちゃまぜ最強説。

2019.2.13

萃点(すいてん)という南方熊楠さんの考え方があるけれど、ほんと、これからの時代は、そういうものがいいんだと思う。
ごちゃまぜって言ったらいいのかな。
いろんな人や物の出会いっていうんだろうな。
こういうのがすげぇ、いい化学反応を起こす。
 
でも、チームプレーとは違うんだよなぁ。
自分の力を伸ばしてきた人同士が出会うことで起きる化学反応。
だから、化学反応が終わった後は、ちゃんと自分の帰る場所もある。
クラブチームが帰る場所なら、日本代表のチームが、それです。
いつもは敵同士でも、共闘する場面になったら、一緒に張り切ろうぜ、となれる関係性。
ま、敵同士じゃなくてもいいんだけどさ。
ただ、常日頃から一緒にいると生まれてしまう統制や匂いとは違う毛並み同士が出会って生まれるエネルギーが、これから随分と面白くなりそうだ。
 
クライアント自慢になっちゃうけどさ、俺の依頼人は、この嗅覚がけっこう優れている人が多いんだよね。
あ、いまの季節においしい、鍋物もごちゃまぜですね。

いちにちいちにち。

2019.2.12

月曜は祝日だった。
「建国記念の日」だそうな。
ぼくが住んでいるマンションの隣では、新しくマンションを建てようと工事をしている。
建国記念の日に、マンション建設。
「建設記念の日」と言いたいが、彼らは日曜日以外は毎日仕事をしているので、記念でもないな。
朝の歯磨きを窓際に立って行う癖がぼくにはあるが、朝の八時には、既に工事が始まっている。
作業の人、重機に乗る人、交通整理をする人。
おそらく現場に来ないで仕事をしている人もいるだろう。
彼らの作業を見ながら歯磨きをしていると、この一日一日の作業が、大きな建物をつくるんだと勇気づけられる。
どんなに途方もないことでも、一日ずつ作業をすれば、いつかは完成するのだ。
ガウディじゃなくても、一日ずつ進めること。
作業量も、思考量も途方もなかったとしても、ちょっとずつ毎日やれば、いつかは終わる。
本当、すごいよ、工事のおっちゃん。

プラネタリムの語り部。

2019.2.11

家の近所にプラネタリウムがあるおかげで、星空を見る頻度が上がった。
人工的な星空ではあるけれど、きれいなものはきれいだ、そう思わせてくれる魅力がある。
そうやって思わせてくれるひとつが、プラネタリウムで投影される星空の解説だ。
解説は録音ではなく、スタッフが生でやってくれる。
だから、噛むときは噛むし、聞きにくいときもあるけれど、淡々と解説するのではなく、それぞれの「好き」を盛り込んだ解説なのだ。
スタッフの特徴が随所に見られる、さながら噺のような解説。
だから、聞いていると星が好きなのが伝わってくるが、押し付けがましくはなく、自分もはじめから星好きの要素があったかのような錯覚さえ抱く面白さがある。
「あぁ、魅力が伝わるってこういうことだ」と、ジャンルは違えど、伝える仕事をしていて、とても勉強になる。
最近の世の中は、要点としてメリットを伝えがちになったり、それができないものであれば大げさなスケールに仕立て上げたり、社会的貢献という正義の使者として伝えようとする傾向があるが、そんなことをしなくても「いいものはいい」と伝えるための大事なことを、このプラネタリウムでは教えてもらえる。
星空の魅力を壮大なスケールとして熱弁されたら、おそらくぼくは引いていただろう。
けれど、近所の星空の語り部たちは、星の魅力をただ伝えているだけで、なんて星が好きな人たちなのだろうかと、思わせてくれる。
ちょっと乱暴な言い方になってしまうが、星を見ることにメリットはないだろう。
しかし、星空は綺麗だ。
「それって、とてもいいことじゃん」と思わせてくれる、そういう魅力の伝え方があったのだ。
天然の満点の星空も素敵だけれども、プラネタリムもいいもんだぜ。

不平等のなか。

2019.2.10

データをどれだけ集めても、「選ぶ」という行為には「直感」が含まれる。
うまくいきそうなやり方をどれだけやっても、事業も人生も「運」が作用する。
巷で言われる努力とか、心構えとかは、運が入る器を大きくすることと言える。
器が小さければ、運がやってきても、入ることはない。
器を大きくしてても、運が来なければ、入ることはない。
器にひびが入っていれば、入った運が、漏れ出ていく。
運を器に無理矢理入れようとすると、運がぼろぼろになる。
ぼくらにできるのは、器を大きくし、ひびがないように整え、運が入るのをただ待つだけだ。
毎日の掃除も、仕事も、器を大きくして整えることだ。
それでもうまくいかないときはある。
個人の人生も、法人の事業も、「人」にまつわることは、こういう「不平等」なものだ。
こういうことを分かっていると、随分と楽になる。
楽にならないのなら、分かっているのではなく、知っているだけだからだ。

引き出しが増える。

2019.2.9

ぼくはバンドを組んだのはほんの一瞬だったので、バンドマンの話すことは、「へぇー、そういうものなのか」と感心したり、感心するふりをしていたのだが、最近になって、ひとつわかったことがある。
「メンバーが変われば、出る音が変わる」というものだ。
依頼人がいるクライアントワークをやっていると、自分でも思ってもみなかった絵が描けるときがある。
一度使った能力は飽きてしまうというぼくの性質も手伝って、どの案件も異なる引き出しを開け、異なるストーリーを作っている。
「依頼人が変われば、出る絵が変わる」ということだ。