Archive for 2020.2

習慣を貴いものにしない。

2020.2.2

ぼくらは色々なことを試します。
例えば、連日伝えている「サンポノめいし」もそうですし、去年から通っている語学学習もそうです。
新しい機材を使うことも、新しい方法を取り入れることも、すべて試行錯誤と言えます。
 
今日は休日ということもあるので、そんなに難しい話をするつもりはありませんが、今年になって始めたことがあります。
「腰痛対策のスクワットとストレッチ」と「目覚まし時計を使って朝起床しないこと」です。
 
ぼくは去年の1月、生涯で三度目のギックリ腰を発症しました。
37歳で三度目の大きなギックリ腰。
だから、小さいギックリ腰は、数えきれないほど経験しています(発症したことがない人はわからないかもしれないです)。
医者からも「異常だね」と診断される回数なので、どうにかして改善しなければと思っていたのですが、整骨も針治療も続かず、しばらく放っておいたのです。
先が見えなかったというのも、影響していたと思うんですよね。
どうなったらゴールで、現在どういう状態で、今回はどういう処置をしたのか、これを説明できる医者(鍼灸師)と出会えなかったのです。
そうこうして冬になり、体が硬くなっているのを感じ、何か対策をしなきゃいけないと思っていたところに、YouTubeで「コナミメソッド」の腰痛対策ストレッチとスクワットを見つけたのです。
最初は半信半疑でやっていましたが、マッサージセラピストで骨格フェチの妻からも、「これはいいね」とお墨付きをもらい、1ヶ月近く続けています。
そして、気がついたことがあったのですが、何か報告しようかと思っても、「ギックリ腰が起きない状態」を目指していたので、「今は起きていないです」としか言えないんです。
普通、こういう場合って、プラスなことを話すのかもしれませんが、自助努力で悪い状態が起こらないようにすることを目指していただけなので、「ぼくはこれ好きだよ」としか言えないんですよね。
ま、ひとつ言えるのは「好きになるかもよ」です。
それはやってのお楽しみですが。
無駄がない、心地よいリズムでスクワットとストレッチが行えます。
 
もうひとつの「目覚まし時計を使わないで起床する」ですが、これもスマホの目覚まし機能を使っても使わなくても、大体同じ時間に起床できてしまっていたので、使わなくなっただけです。
嫌だったのが、目覚ましの音でビクッとなって目が覚める瞬間です。
体を痛めそうじゃないですか。
それで、使わなくても起きれるんだから必要ないよなと。
 
正直に言うと、この二つがどれだけ長く続くかはわかりません。
飽きたらやめるでしょうし、調子が悪くなったらやめるでしょう。
飽きずに、調子がよければ続けるだけです。
 
いやね、「続ける」って、偉そうなことに思いがちですが、その程度のことって思っていた方がいいんです。
たまたま続けていたことって、よかったから続けていたわけで、誰かに褒められたいからとかじゃないですもんね。
仕事も、私事も同じです。
飽きずに、いいことだけを続ければいいんです。
あとは、さくっと辞めちゃえばいいんですよ。
仮に仕事だとしても、しがらみや責任を感じて嫌な仕事を辞めなかったとしても、辞めた後はその人のことを大事に考えたり、その人が抜けた仕事がそのままになっていたりっていうことはないですから。
仮に、そのままになっていたら、どうでもいい仕事だったです。
あんまり、自分のやっていることを素晴らしいことだとは思わない方がいいです。
ぼくも、ぼくの仕事が犯罪じゃなくてよかった、ぐらいにしか思っていません(デザインやアートは賎しい仕事と思われていた時代もありましたから)。
 
あんまり真剣に身構えない方が、身軽になって、目の前の景色が広がりますよ。

サンポノめいしのフォント選び。

2020.2.1

今日は珍しく(?)フォントの話です。
知らない人もいるかもしれないので説明すると、フォントというのは文字の種類です。
Windowsを使っている人でいうと、「MSゴシック」や「Century」などがあるでしょう。
あれがフォントです。
 
先日リリースした、「サンポノめいし」で選べるフォントは2種類あります。
明朝体と言われる、筆で書いたときの溜まりや払いがあるフォントと、ゴシック体と言われる溜まりや払いがないフォント。
さらに、明朝体からは「筑紫明朝」を、ゴシック体では「中ゴシック」と「Helvetica Neue」を組み合わせて、それぞれ選定しています。
 
明朝体とゴシック体のフォント選びはデザイナーに依るところがありますが、基準値レベルの高さで選ぶのなら、選択肢は限られます。
その上で、使用目的や使用媒体、印刷方法の制限もかけていけば、さらに選択肢は少なくなります。
 
筑紫明朝は、長文用フォントとして可読性が高く、オフセット印刷でも写植時代の名残りを表現できるフォントです(写植についてはまた後日話します)。
インクの溜まりや払いをしっかりと表現しながら、窮屈にならないで、ゆったりとした心地よさがあります。
一見すると、長文がないように見える名刺ですが、ロゴで効果を発揮するようなフォントを選んでいると、住所表記などがとてもアンバランスで窮屈な見え方になります。
そのために長文用フォントを使用した方がいいのですが、味も素っ気もないのでは、自分(自社)という看板を伝えるのにいかがなものか。
このあたりの絶妙なバランスを叶えてくれるのが、筑紫明朝です。
 
一方のゴシック体。
明朝体ではなく、ゴシック体を選ぶ理由のひとつは、機能性です。
明朝体で表現されてしまう品の良さは、場合によっては、事業内容とミスマッチになることもあります。
優れた機能性、利便性を売る場合は、必要以上に品格を売りにするのは鼻につき、かえって邪魔になります。
こういう場合はゴシック体を選ぶのですが、ちょっとした品格はアクセントとして大事なところです。
 
これを叶えてくれるのが、中ゴシックとHelveticaです。
中ゴシックは、ゴシック体の中でもフラットになりすぎず、若干のインク溜まりなどがあります。
さらに、文字のフォルムとして全体的に小さめに作られているので、文字としても窮屈にならずに、可読性を高めてくれます。
例えると、美味しい蕎麦に薬味のアクセントがピリッと効いている感じでしょうか。
こういう安心感が、中ゴシックにはあります。
この中ゴシックに合わせるのが、Helvetica Neueです。
日本語ゴシックの半角英数字は、どうしても日本語よりになってしまい、欧文だけで並べたときのバランスが悪くなってしまいます。
たとえば、URLやメールアドレスなどです。
どうしても、欧文の美しさが弱くなってしまうと言ったらいいのでしょうか。
これを解決してくれるのが、Helvetica Neueです。
 
日本語が多くなってしまう日本語名刺に、邪魔にならずに欧文を使うためには、日本語フォントを基準として欧文フォントを合わせる方法になります。
そして、ちょっとしたアクセントがある中ゴシックには、Helvetica系のフォントが似合います。
Helveticaの他にも、ゴシック系の可読性の高い代表格に「Universe」「Avenir」「Frutiger」などが挙げられますが、今回の中ゴシックと合わせるのなら、HelveticaかFrutigerを選びます(ぼくはね)。
その上で、Helveticaを合わせる理由は、Frutigerよりもクセが少ないこと。
Frutigerが遠くからの視認性を高めるために誕生した背景から、今回の「名刺」商品においてはクセがほんの少しだけ強いのです。
そのために、Helveticaを採用しました。
 
以上が、サンポノめいしで使用しているフォントの選定方法です。
一口にフォントと言っても、フォントが生まれた背景や浸透具合から利用用途は様々です。
ぼくらデザイナーは簡単に選んでいるように見えてしまいますが、こういった知識を積み重ねて、そう見えているのです。
こうやってフォントについて知ると、世の中に出回っている名刺のフォント、それで合っていますか?と疑問を投げたくなるものもたくさんあるでしょう。
いいものに触れる機会が多ければ、フォントの名前を覚えなくても、身体に染み込まれているものです。
変な使い方を見れば、何かが気持ち悪くなります。
あなたはどうですか?