素敵な映画館

2012.12.1日々のこと

先日、目黒シネマさんで『ダークナイト』、『ダークナイト ライジング』の2本立てを観ていた。前者は既に5回は観ており、後者はここでも記載したがIMAXシアター系で観ている。つまり、既に観ている2本であり、この映画に収められているスペックを発揮するには、足りないスクリーンサイズとも言える映画館に行ったのだった。
 
「なぜ、足を運ぼうと思ったのだろう」
 
そんなことをぼんやりと考えてみると、1つは上映されていた映画であることは間違いなく(何と言ってもこのシリーズが大好きなのだ)、映画館で観ることを前提に作られているであろう撮り方、シリーズを通して描かれている登場人物達の信念と人間らしさ、そして自己犠牲の後のハッピーエンド……クリストファー・ノーラン監督が映画が好きで、映画に懸けているものがうかがい知れる。しかし、それだけでは他の映画館でもいいだろう。いや、わざわざ目黒シネマに行かなくてもいい話だ。
 
そこで、足を運んだキーとなる2つめの理由が挙げられる。目黒シネマのHPを見ていると、彼らの映画好きというのが察知できたのだった。
 
それは正解だった。上映部屋を除くあらゆる壁面に貼られたPOP、特大ポスター、上映映画の記事の数々を筆頭に、バットマン(キャットウーマン?)の頭部をもじったスタッフ帽、消しゴムスタンプ(なんと4種類!)から受ける印象は販促品の域を余裕で超えており、映画好きがこうじて作ってしまったというものであり、見ているこっちが興奮してしまった。また、これらグッズ?に加え、映画関連図書なども揃えており、ここまでくると敷居が高くなりがちなのだが、ブランケットが用意されていたり、スタッフさんの笑顔によって「映画っていいよね〜」と軽い感じで言えちゃう気配りの良さに惚れてしまった。
 
そして、1本目と2本目の間の小休止では、お客は持参したお昼ご飯を各々食べ始め(もちろん僕も)、昨今増加したシネコンにはない、僕らが中学生頃に通っていた映画館の「ゆるく楽しい雰囲気」を懐かしく感じたのだった。
 
完全入れ替え制で高スペックのシネコンは便利だし、大迫力で観れる楽しさがあるが、一方、映画好きが伝わる人達が作り上げている映画館も良いな〜、と思った日だった。そんな場所では、映画好きが伝わる監督が撮った映画が似合うな。『SUPER 8』も目黒シネマで観たいな〜、とふと思った。
 
秘匿の美学や悩む美学、(「敢えて」と言う)反面教師の美学など様々な趣向があるが、ものをつくる動機というのは「もっと単純なところにあっても良いんじゃないか」、とよく思っている。「好き」、「楽しい」、そんなところから始まったときや、それらが伝わるときに、人は自然と笑顔になっていると思うんだな。そういうときに「いいね!」って素直に反応しちゃえば、その時の表情は……笑顔じゃん。目黒シネマにいた6時間弱、僕は温かくてまぁるい、ふわふわした優しさにいた。
 
こりゃあ、目黒シネマにまた行っちゃうな。

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