「いいこと言う合戦」には乗らない。

2019.9.22ビジネスの健康, 心の健康, 日々のこと

世の中は「いいこと言う合戦」になっている。
正直に言うと、ぼくはこれを避けている。
だからかもしれないが、「悪い言葉で言うと…」という前置きをしながら、あまり聞こえのよくない言い方をするときが度々ある。
 
人々が聞こえのいい言葉を使う理由はいくつかあるが、簡単にひとつ挙げると「印象をよく見せたいから」だ。
よく見せたい内容は、自分たちの事業がどんなに素晴らしく、自分たちの行いがどんなに善き行いで、どれだけ自分たちが優れているかを、誰かに示すためだ。
そして、何かを言うことで「何かを得たいから」だ。
だから、聞こえのいい言葉を使う人たちに共通していることがある。
それは、「弱い立場」だということだ。
 
事業が上向きに進んでいれば、わざわざ聞こえのいい言葉を使う必要がないし、お金に困っていなかったり、人材に恵まれている、仕事に恵まれているなども同じだ。
普通に自分の事業、自分の生き方をしていればいいだけだ。
そうじゃなく、上手くいっていない企業、お金の余裕がない企業ほど、いい言葉で人を説得しようとする。
そうして、協力者や資金を得ようとするものだ。
 
これは、ぼくらの仕事も似たような要素があると思われている。
ぼくらの仕事は、上手いことを言って、上手く見せてお金を稼ぐことのように思われやすいから、ぼくらの仕事を説明するときには、なるべくよく見せないようにしている。
一言二言で説明しなきゃいけない時は、ふざけているように見えるかもしれない、ぐらいに話していることもある。
 
というのも、この仕事は、お客にきついことを言わなきゃいけないときもあるし、費用だって安い仕事ではないと思われているし、予算で可能なことも決まってくる。
予算内でベストプラクティスを提案すると言っても、1000万円のベストと10万円のベストはやっぱり違う。
報酬以上の仕事にするかどうか、つまり、ぼくが赤字になる仕事にするかどうかを決めるのは、やっぱりぼくの気分次第なのだ。
そうじゃないと、ぼくが食えなくなる。
 
ここまででも、世間で耳にする聞こえのいい言葉はないだろう。
だが、どの業界のどの仕事、いや、もっと言えば、職業倫理を働かせている人の働き方に共通していることを書いている。
それでも、ありがたいことに仕事の依頼はある。
 
「いいこと」に酔いしれるときは、弱っているときじゃないのかな。
そう思って世の中を見渡してみると、日本人は、弱っているのかもしれない。

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