ちゃんと準備されている。

2019.1.26日々のこと

昨年末に「なんかつまらない大人になっていないか、俺よ」と思い、これと同時に、ここ数年、記憶している限りで小説を読んでいないことに気がつきました。
それから年越しあたりから小説を読み始めて、いまは三冊目。
一冊目は、重松清さんの『また次の春へ』。
二冊目は、恩田陸さんの『ブラザー・サン シスター・ムーン』。
そしていま読んでいる三冊目が、梨木香歩さんの『雪と珊瑚と』。
それぞれにハッとするところがありましたが、今回は『雪と珊瑚と』についてです。
 
まだ読んでいる途中なんですが、「甘えるのが下手な人」が「居場所を与える人」になって、取り巻く人たちを含めてしあわせになって欲しいと、願える作品です。
甘えるのが下手な人、それはぼくも同じだなぁと思ったのです。
お願いや依頼はできるけれど、甘えるのって、なかなか難しいものです。
「甘え上手」になるためには、「甘え切る」ことが肝です。
これはぼくの妻を見ていて、感心します。
甘えるのが上手いんです、彼女は。
 
物語に話を戻すと、主人公である女性は、甘えるのが下手です。
それが、物語が進むにつれて、自分のやるべきことが見つかっていく中で、周りにいる人たちに、心から頼るようになっていきます(少なくとも、ぼくの読んでいる部分までは)。
つまり、甘えられる人に育っていきます。
 
自分のやるべきことが見つかるタイミングも、そのタイミングであったかのように、必要な要素たちも、目の前に現れて動き出すタイミングを待ちわびていたかのように次々と現れてきます。
穿った見方をすれば、「できすぎている」と見るでしょうが、いや、物事が動き出すタイミングって、何もないところから急に起きることはないのです。
急に動き出したように見えることでも、必ずそれまでの準備のような、冬眠していたけれどちゃんと存在しているのです。
だから、動くときは加速度的に感じるのかもしれません。
応援したくなる、やさしい気持ちになるし、人の心を感じさせる作品です。

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