100点のデザイナーを育てる。

2018.8.18ビジネスの健康, 日々のこと

デザイン思考、デザイン経営、デザイン組織、デザイン家電、デザイン〇〇、、、すべて、デザインを特別なことのようにしているけれど、この特別感がそもそもの間違い。
 
design(デザイン)の語源であるdesignareは「計画を記号に表す」の意味を持っている(deignareは「線を引く」の意味もあり、dessin(デッサン)の語源にもなっている)。
つまり、計画することも、これを表すこともデザインの範疇なのだから、誰もが当たり前にしていることだ。
個人であれば、「今日のお昼は何を食べよう」「明日は何をしよう」「この先の人生をどうしていこう」と計画をたて、服装や髪型、化粧、話し方、身振りにいたるまで「あなた自身」を表している。
これが法人であれば、ビジョンを考えたり、事業計画を立てるもよし、予算をりん議で通すための計画でもよし、ありとあらゆることを計画しているだろうし、オフィスや什器を選んでは理想のオフィス環境を表現しているだろう。
 
これほどまでにすべての人が当たり前にやっていること、これが「デザイン」だ。
だから、デザインの能力とは、特別な人の特別なセンスなのではなく、単純に、計画し表すことが効果的に機能しているかどうかなだけだ。
この能力は、専門的技術と知識に依るところがおおいにあり、誰でも確実に育てることができる能力だ。
 
しかし、育つことで難しいのは、誰でも簡単に育つのは「ある程度」のところまで。
最近のデザインを見ると60点程度のものが溢れているが、「ある程度」の成長で育つことを止めてしまったデザイナーたちの末路に思えてしまう。
そのような現場でよくあるのは、スピードだ。
試行錯誤の回転を素早く回すことで、リリースとアップデートを繰り返していく手法を代表するように、昨今の現場は急ぎすぎている。
もしくは、クオリティを担保するのに必要な時間を確保できない現場になってしまっている。
デザイナーのやることも増えてしまっているので、成長の前に、パターンでやりくりすることに追われてしまい、100点のデザインを作り出すことができなくなっているのが多くの現場だろう。
100点のデザイナーが毎回100点を出すことは不可能に等しいが、60点のデザイナーが数多くいたところで、100点のデザインを作り出すことはできない。
100点を作り出すためには、100点を出せるデザイナーがいることで可能となる。
  
ブレストのような現場では、耳障りのよい案や声の大きさによって案が通ってしまう。
すると、考えて吟味する時間がなくなっているのだ。
アップデード、つまり改良は、どの製品やサービスにおいても必要だが、「アップデードすればいい」と思って作ってしまうのは、ツメが甘くなるだけだ。
このような現場では、100点を取れるデザイナーは育たない。
本当にデザイナーとして育ちたいのなら、急がば回れだ。

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