川の声

2013.11.26日々のこと

河原や渓谷で寝そべることでは、川の音が重要だということを知った。よく行く川へ、昨日は別ルートで行ってみたのだが、途中、川の幅が広くなり、浅瀬で水流の音が微量の箇所と遭遇した。「ここでも構わないか」と一瞬思ったのだが、何故か、腰を下ろす気になれなかった。仕方なく、いつもの場所へ向かい、酒を片手に寝そべったのだが、先ほどのことが頭から離れなかった。
 
その理由は、川がたてる音にあっただろうし、人間がいないということだった。川幅が広く、浅瀬であれば、人はやってくる。少量ながら、生活圏の匂いがし、僕の鈍感な受容器では、人間の匂いの方が勝ってしまい、微量な川の声を聞き取ることができないのだった。
 
よく行く場所や、僕が選ぶ場所には、人がいないか、人がいても自然と対峙することを求めている人達のせいか、自然と一体になろうとする動物の匂いを発している。その匂いを出すと、川の一定だった音は、優しく語りかける声に変わる。
 
その声は、まどろみを呼び、想像の波に浮かぶことを許し、感謝の気持ちで一杯になる。

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