システムの話のつもりが…

2011.12.17日々のこと

今年は制作から流通までのシステムを作ることが多い。スキャンからレタッチ、出力までを一列にし、頻度が中程度のものは全て引き出しなどの目に見えない場所に閉まった。今まで以上に「使ったら片付ける」ということを徹底している。
 
そういう流れで出来た場所で一番のお気に入りは、筆置き場だ。引伸し機を譲ったことで空いた机の上に厚めの板を置き、その上に筆と白い陶器のパレット(小皿)を並べているだけで、筆は転がるので等間隔にはならず、向きだけ揃えて間隔は筆に任せている。白い机も板もパレットも筆も、全てが使い古されており、手垢の重みがある。
 
それらの上には小品やマッピングされたコンセプトが吊るされており、大判への「いざ筆入れ」という極度の緊張と恐怖による興奮状態から「えいやっ!」と清水の舞台から飛び降りる僕を後押しをしてくれ、落ちた先にもしっかりと作品が受け止めてくれる。飛び降りたことで作品が昇華した時、僕は安堵と高揚に包まれる。ただし、すぐに次の舞台に立つはめになるのだが…そんなことを繰り返しているのだから、作ることにおける中毒者になっているのだろう。
 
たとえジャンルが異なっても、このような緊張感からの高揚は生まれ、その深みは底知らず、その高さは天井知らずだ。だからだろう、ジャンルを超えて興味が出てくる人というのは、研究好きの快楽主義者という似たような匂いがしてくる。

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