神々しい手技

2011.6.22日々のこと

 今朝電車に乗っていて、僕の座っている反対側の席の右斜め前に立っていた女性(つまり、僕から見ると左斜めの後ろ姿が見える)が髪を束ねていたのを目撃した。一瞥して気付き、「ずっと見ていると変態みたいだな」と思ってそのまま読んでいた本の続きを読み始めたのだが、動きが長々と続いていることに気付いた。動作の振動が伝わるというのだろうか、とにもかくにも髪を束ねるのに相応しくない動作の時間だと気付いたのだった。再び、彼女に目をやると、束ねるのではなくて、お団子に結わいていたのだった。僕が見ている間も、長くてするりと整えられた髪はあれよあれよとお団子に整形されていき、完成まで僕は見蕩れてしまっていた。彼女の細い指が柔らかく動き、指の動きに合わせて、髪の毛がその整形の道筋しか知らないかのような動きでお団子へと変貌していく姿が美しいと感じていたのだった。
 
 昔から、知人女性などでお団子姿の人を見かけると、中心の(ように見える)窪みに「えいっ」と指を突っ込んでは怒らていたのだが、今朝の女性の手技を拝見して「もっと丁寧に扱わなくてはいけないな」と誓ったのだった。

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