アイスブレイクの上手い人。

2019.12.19ビジネスの健康, 日々のこと

仕事ではじめての人と会うとき、その人がどんな人なのか、ある程度は目を通す。
少なくとも、何をしてきた人なのかはわかるはずだ。
今の世の中で、仕事をしていて、まったく素性のわからない人という方が珍しいのではないだろうか。
価値があれば、インターネットという網のどこかで必ず引っかかるものだ。
そういう世の中になって、下調べをしてきているのかどうかの判断が、明確に表れるようになった。
詳細に調べ尽くして知識をお披露目する人、まったく調べずに話が展開しない人、ある程度調べた上で、さらに会話で発展させようとする人。
大きく分けて、この三者になる。
正直に言うと、最後の「会話で発展させようとする人」でない限り、無駄な時間になる。
 
一方で、「会話で発展させようとする人」はアイスブレイクが上手い。
アイスブレイクというのは、本題に入る前に、雑談などで参加者の緊張をほぐすことだ。
 
デザイン事務所に務めていた頃、クライアントからこれを教わった。
大手文房具メーカーのクライアントで、血気盛んなぼくを含めたデザイン事務所の面々を前に、その人は趣味の野球の話を 、必ずと言っていいほどしていた。
そして、自分の好プレーの話をするのではなく、下手くそなプレーの話をして、場を笑わしてくれるのだった。
けれど、血気盛んなぼくは、本題モードで鋭い目つきをしながら、その人の野球ネタを聞いていたようで、時折、話の種になっていた。
いや、話の種に「してくれて」いたのだ。
そうすることで、デザイン事務所の面々も、ぼくを仕事熱心な若者として売り込むことができる。
実際に、ぼくの稼働時間は凄まじいものがあったし、たくさん貢献していたが、今思えば、たくさんの年上の方々の温かい土俵で、成長させてもらっていたのだ。
 
「写真だったらあの人」「デザインだったらあの人」「料理だったらあの人」というように、色んなことに師匠のような人を勝手に当てはめているけれど、会話だったら間違いなくあの人だ。
連絡先もわからないから、あの人ともう一度会うこともないだろうけれど、度々、あの人の進め方を想像する。
あの人から学んだものは、かなり多いんだよな。

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