自然との付き合いかた。

2019.10.14日々のこと

未だかつてないほど大きな台風が、関東を直撃した翌日。
前日とは打って変わって澄んだ青空。
風は強いけれど、二子玉川の駅から眺める遠くの山は、くっきりとよく見える。
しかし、視線を下に向けると流れている多摩川は、普段よりも水が多く、濁っている。
それでも、前日よりも水が引いたのだろう、陸地に水が引いた跡が残っていた。
 
多摩川が描く、普段と違う光景を、ぼくを含めた大勢の人たちが遭遇していた。
それもこれも、関東に台風が直撃した日が土曜日で、しかも、列車が運休だったために、ほとんどの人が、家や避難先で過ごしていており、増水した多摩川を「見ていない」からだ。
知人たちの話を聞くと、出かけるにしても、雨風が酷くなる前に、近所に買出しに行くぐらいだったようだ。
 
「無理をしない」ということを、日本中の人たちが意識した日だったんじゃないだろうか。
前回の大型台風の日は、平日で、列車も動いていたり、動いていなかったりしていたために、「無理をすれば行けるかも」という義務感と期待が合わさった行動をしていた人も多いらしい。
実際に、ぼくの義兄は途中の駅まで、普段よりも時間をかけて行ったのに足止めをくらい、結局帰宅したと言っていた。
一人一人の困難さに加えて、停電など大きな困難も全国的に知れ渡った。
この教訓が、日本中の生活者や、事業者に活かされたということだ。
 
けれど、それでも河川の決壊の情報を見ると、そのすさまじさを感じざるを得ない。
どうしようもないとも言えるし、被害にあった人の立場で考えたら、なんとも言えない気分になる。
調べてみると、護岸工事を終えてから数年しか経っていない場所もあるようだ。
自然との付き合いかたは、人間の歴史でもある。
諦めることと、もっと工夫すること、おそらく、この両方を保ち続けるのが人間なんだろう。

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