日本らしさ
2010.12.18日々のこと季刊誌『生命誌67』が送られてきた。僕はこれを毎回楽しみにしていて、この質とボリュームで無料配布というのは脱帽する。
今回、思わず笑みがこぼれてしまったのは「イチジクとイチジクコバチ」の話だ。イチジクの花は、内側の花嚢(かのう)に咲き、花粉を運んでもらう役割をイチジクコバチが果たしているらしい。このコバチが自身の産卵のためにイチジクの花嚢の中に入り、産卵を済ませ、外に出るときに花粉を運ぶ。しかし、稀に産卵だけ済まして花粉を運ばない「ずるい奴」(裏切り者)がいるのだが、その花嚢は「ずるい奴」の子どもが育つ前に枯れてしまうのだそうだ。
そして、この「ずるい奴」への子孫を残させないという(正確にはその子どもへの)制裁は、パナマのイチジクでは強く生じ、日本のイチジクではそれほど強くははたらいてないことがわかったと伝えている。
僕はこれを読んで「制裁や攻撃性への優しさや甘さ、弱さなどの日本人らしさは、こんなところでもあるのだな」と思わず苦笑してしまった。日本の風土がそうさせてしまうのか、日本人がそうさせてしまうのか、鶏と卵の話のようにどこまで遡ればよいのか、長い歴史があるように思えた。
※ 鶏と卵は決着がついたみたいですね。