アートワークとクライアントワークの違い。

2019.7.19ビジネスの健康, 心の健康, 日々のこと

昨日、インスタグラムに「アートワークの方が疲れる」と書いたが、この比較になっているのはクライアントワークだ。
もちろん、クライアントワークが簡単と言っているのではない。
だが、その違いを考えると、「答えのなさ」がアートワークの方が疲れる理由になるんだと気づいた。
 
クライアントワークは、どんなに難しくても「クライアント企業の利益を上げる」という答えが存在する。
これがクライアントワークの目的と言ってもいいだろう。
営業利益を上げるのか、純利益を上げるのか、株価を上げるのか、業界での立ち位置を上げるのか、満足度を上げるのかなど、上げる利益は明確だ。
クライアントワークの難しさを挙げるのなら、この目的の擦り合わせと、タイミングだ。
 
たとえば、ブランディングの場合で利益を上げようとするのなら、タイミングは「一生」になる。
ブランディングとは、積み木で建築物(利益)を作るようなもので、土台作りから建てている間、そのどれもがとても長期間となる。
そして、長期間やり続けることで、いつの間にかお客を呼ぶような存在になっているのが、ブランドが出来上がる仕組みだ。
たとえば、サクラダファミリアやピラミッドなんかをイメージするといいだろう(どっちも行ったことがないけど。それと、ガウディの最期を知ると、複雑な気持ちになるが)。
しかし、築き上げたブランドが崩れるのは一瞬だ。
物理的な破壊もあるだろうが、不正問題でも、築き上げたブランドは地の底に落ちる。
食品系の大手企業などの例が思い浮かぶだろう。
ざっくりとだが、これが、ブランドを作ることで利益を上げるということ。
 
けれども、ほとんどのクライアントは「施策をすれば結果が出る」と思っている。
つまり、最低でも3年続けて、ようやく芽が出始める場合でも、何かを作ったり、半年ほどで成果が出るものだと思っていることが多い。
リニューアル案件はこの誤解が多い。
クライアントワークの難しさは、ここでの意識変化だ。
意識変化の途中で、意思決定者や担当者が変わると、相手のノウハウはゼロに戻るので、また最初からやり直しとなる。
だから、担当者がころころ変わる事業は、大抵うまくいかない(これは大手の事務所でも同じようだ)。
作ることで言えば、「売る」ことには法則があるので、あまり難しいことではない。
 
一方で、アートワークの難しさは「答えのなさ」だ。
一応、「今まで見たことがないものを見たい」という答えはあるが、経験を積めば積むほど「見たことがないものってなんやねん」ということになる。
見たことがなくても、美しさが欠けていたら、感動はしない。
だから、「今まで見たことがない美しさ」を求めていると言える。
「そんなもんあるんかい」という気持ちになるが、この「見たい」欲動に突き動かされて、頭と体が回転していく。
それが、疲れるってことなのだ。

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