デザインは感性ではない。

2018.8.3ビジネスの健康, 日々のこと

これまで「デザインは感性ではない」と何度も話してきました。
「クリエイティブは感性ではない」も同じです。
幾度となく、依頼人の前で話してきましたし、色々なところで公表もしています。
それは、私以外の歴史上の人物達も同じことを伝えてきたし、現役でご活躍されている大御所たちも伝えています。
 
それでも、「デザインは感性」だと疑ったことすらないヒトが多い。
打合せの現場で「気になる」「気にならない」という言葉が使われているのが、顕著な例です。
この言葉がまかり通るのなら、個人の感性で意思決定がされるということです。
 
仮に製品を購入する消費者であっても、「気になるから製品のここを変えてくれ」と製品を販売しているメーカーに言ったとしても、たった一人の意見であれば、採用されないでしょう。
声の数が大きくても、長い目で見て「変えてはならない」と判断できるヒトが決定権を持っていたら、採用しないかもしれません。
幸いにも、いままで関わってきた企業の方々は、このような視点を持てるヒトたちでした。
だから、世界中から信頼されるブランドを築けたり、新興企業でも中枢に影響力を持つことができたのだと思います。
 
少々脱線しますが、個人の感性で他人の仕事に影響を及ぼすためには、そのヒトを所有しなければなりません。
法人の場合は筆頭株主になれば、ある程度は可能でしょうが、デザインの専門家であるデザイナーは人間なので、所有することはできません。
(雇用契約を結んだとしても、契約関係である限り、会社と従業員の関係は、本来の意味では外部関係になります)
 
もしも、「気になる」「気にならない」という言葉が平気で飛び交い、個人の感性で押し通せる現場なら、デザインは効果的に機能していないということです。
いままでは、依頼人たちに、デザインが効果的に機能するためのノウハウを伝えながら、実際の制作物を提供してきましたが、病気の身体を治す気のない患者に対して医者が断りを入れるような対応も、今後は増やした方がいいのかもしれないと思いました。

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