今も流行っているのか?

2014.9.7日々のこと

時間が出来たので、美術館に映像作家の作品を見に行ったのだが、「これが今でも日本で流行っているのか?」と驚いた。
 
最初に見たのが、異なる人種の両親を持ちながら、どちらの国とも違う場所で育った自身のアイデンティティを探る作品であり、他の作品群も、アイデンティティを探るようなものだった。つまり、「自分探し」の作品である。
 
日本でも、僕が高校生あたりの頃から大学生ぐらいまで流行っていたと思われるのだが、僕が気付かないだけで、今でもこういうものが流行っているのだろうか。
 
アイデンティティをはじめ、不確かなものには、「不確かなもの」という答えが既にあり、それ以外の価値は、人の作りだした偏見でしかない。水は形を変え、海となり川となり、私達の体を流れる。一度たりとも、同じ形を形成しない。それは人間のアイデンティティやコミュニケーションも同様であり、不確かなもので、常に誤解があり、共有が出来ず、時間と共に流れていく。
 
そんな、アイデンティティを定まっているものとして捉え、コミュニケーションで共有できると思い込む偏見が、不安を生み、「こんなはずじゃない」と怒りを生むのではないだろうか。
 
「流れるもの」という当り前のことを、認めれば、心はラクになる。

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