千住博美術館に行ってきた。

2014.7.19日々のこと

軽井沢にある千住博美術館に行ってきました。軽井沢駅からタクシーで美術館に向かい、発券機でチケットを購入し、入場した後、美術館内にあるトイレで気が付いた。ケータイがない。タクシーの中で、携帯電話を使って帰りの電車の時刻を調べたのは覚えていたので、すぐにタクシー会社へ電話しようとするも、レシートを受け取っていないことに気が付き、そもそも携帯電話がないのだから電話すら出来ないのだった。
 
美術館のスタッフにタクシー会社を教えてもらい、電話を借りようとしたらミュージアムショップしか電話がないとのこと。そのままミュージアムショップに行き、ことの説明を店員さんにして、電話を借りようと思ったら、その店員さんがタクシー会社に取り次いでくれるとのこと。すると、やはり携帯電話はあり、そのタクシーの運転手さんが僕の下へ届けてくれるというのだった。
 
一連の出来事の中、焦る気持ちよりも、無事に手元に戻ってくるだろうという予感の方が強かったのは、軽井沢に流れる休暇の雰囲気のお蔭だろうか。しかし、軽井沢に到着してからの、食道から駅弁屋、ホテルのフロントの雰囲気には何か癪に触るものがあったので、もしかしたら、自己防衛が働いて、ゆとりの気持ちを持とうと努めたのかもしれない。
 
携帯電話が手元に戻ったので、展示の観賞を再開。内容もすばらしく、様々な表情の滝を見ることができた。また、若干の傾斜を持っている会場内を歩かせる構成により、自分が重力の中に生きている神秘を感じることができたのだった。途中、作品に近づき過ぎて、スタッフの方に優しく注意されたが、その人の声も美しかった。軽井沢パワー、恐るべし。
 
展示を見終わり、そこで千住博氏の空気は途切れるかと思ったが、土砂降りの中、雨宿りをしながらタクシーを待っているときに奏でる雨の音色が美しく、雨が止んだ空から覗く、陽の光は日本も世界も関係のない、地球そのものだった。
 
空の写真を撮っているうちにタクシーが到着した。乗車すると、「さっき、お客様の前に千住さんの弟さんが乗っていたんですよ」とのこと。ストラディバリウスを大事そうに抱えていたと言っていたので、もしかしたら妹と聞き間違えたのかもしれないが、自分の座っている席にストラディバリウスの蓄積された歴史の一抹が残っているようで、バイオリンに無知の僕でも感慨深いものがあったのだった。

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