克己復礼

2013.2.14日々のこと

「ディレクターになると、実作業が出来なくなる」
 
何度か耳にした言葉であり、どこまで出来るかわからないけれど、今の所は嘘だと思っている。
 
メールの書き方、返信速度、性質を無視したパターンメイキングなどピンからキリまで実作業が出来なくなる要因はあるが、根っこの所は全て礼節の有無だと考えている。どうしたら適切な形に出来るか、過不足なく相手に伝えられるか、優先度を高めて拘束度を下げる連絡――全て自己洞察から生じる相手への配慮であり、一言でいうと「克己復礼」である。何でもかんでも相手に合わせたり、我を通すということではなく、必要なことを適切な形で行うために大切なこと、それが礼節ではないだろうか。
 
僕の携帯電話のメールアドレスは意味不明な記号の羅列のように思われるが、実は「克己復礼」を英訳して単語の頭文字を使っている。そして、この故事成語の頭文字「克」は僕の名前である。良い名前をつけてくれた家族に感謝と言いたい所だが、この漢字が使われているのは、これが最後として生まれた子どもに自分の名前の一部をつけたかった父親の我が儘であり、故事成語に意味付けしたのは僕なので何とも言えないな。きっかけをくれたと言えばそうだが、意識の高い人間にそれを言ってしまうのは、その人の行いを踏みにじり過ぎだろう。

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