スタート

2012.6.2日々のこと

昨日、6年振りの友人と海に行っていた。海水浴シーズンではない海は昼間でもガラガラで、のんびりと話すことができた。
 
どこかの評価を自分の価値判断の基準にしてしまうのは良くないが、海外で日本の広告の評価が高い。しかし、日本国内で普及しているのは瞬発力勝負の広告であり、じわりと芯を突いてくるような広告はあまりクライアントに求められない。そして、アートでも同じようなことが起こっている。たえず新しいものを発表し、目新しいように見えるやり方が登場する。活動休止なんて悪になる。
 
そんな状況と遭遇するときに、僕はいつも思うーー「良い作品を創りたいだけなんだけどな」と。
 
そして「地球をつくる」ということを考え、そんな作品を創るために、僕は6月は仕事をしないと宣言し、抱えている案件は5月中で終らせたり、人を紹介したり、制作モードから離れて人と会うことを選んだ。その1日目が、昨日だった。
 
ビールを呑みながら緩やかなに流れる時間と会話は、そのまま海の穏やかな波を表しているようだった。初めて食べた「しらす丼」は、今まで自分が食べていたのはしらすの子どもか?と思えるほど肉厚で美味しく、感動してしまった。まだまだ僕は知らないことが多い。
 
鶴岡八幡宮に連れて行ってもらい、倒れてしまった樹齢1000年の木を見たら、先の無い根本から枝が生えているように見えたーーシャッターを1枚切っていた。隣には小さな木、「成長している」と友人が嬉しそうだ、若木の1000年後が見てみたい。併設の美術館で石元泰博さんの展示がやっていた。1000年とは言わないが、僕らの大先輩の仕事振りに触れる。制作モードから離れているはずなのに、シャッターを切り、その後の作品が見え、写真展と遭遇するあたりが藝術の神さま(女神)からは離れられないのだなと思ってしまう。人間でもそうだが、女性は怒らせないほうがいいよね。
 
良い作品を創るための時間を今まで以上に大切にしたい、その時間が確実にスタートした。

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