四季無常図について(草稿)

2011.4.9日々のこと

 「行く河の・・・」と書いた鴨長明、「徒然なるままに・・・」と話した吉田兼好、次々と命が生まれては消えていく「古事記」、翳りという負の要素からプラスへと昇華させる日本人の特長を説いた「陰影礼賛」。旅や流転が内容に含まれていながら、その他の古典や近代書物を読んでも、いまいち釈然としなかったのには、無常観であるかどうかであった。無常感ではなく無常観であるということ、このことが重要であった。たかだか「感」と「観」という一文字の漢字の違いだけで、無常への態度が全く異なってくるのが、日本語の特徴である(もちろん先に出てきた「特長」も使い分けられるのも日本語の特徴である)。無常観に似た思想は他の国の思想や宗教、哲学、藝術など様々なジャンルにも出てくるし、日本の思想や特徴は源流を遡れば大陸思想に結びついたり、戦後以後の変革からは欧米の思想が混ざり、日本独自の本流というのは無いとも言える。しかし、思想ジャングルと化した現代世界において「美しい」と感じるものを受け取ると、そこに「日本」を見出してしまっていた。そして、見出した日本の匂いへの内省を進めると、必ず「無常観」という壁が現れるのだった。(つづく)

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