快楽主義者

2010.10.17日々のこと

 「ハートロッカー」を観た。冒頭にでてくる「戦争は麻薬である」という文句に納得しながら観ていた。当事者以外の生物が犠牲になることから僕は戦争に賛成できないが、この文句はいわば「死を身近に感じる体験は麻薬である」ということだろう。

 「今日死ぬかもしれない」というのは誰にでも当てはまる常識だが、油断してしまえば先のことを見てしまう。この常識を忘れているときというのは大抵、欲にまみれているときであったり、何かに執着しているときだ。

 座ってなんかいられない、会話なんてどうでもいい、ただただ身近にまでやってきた生死の感覚だけと向き合ったときのヒリヒリとした快感。そんな時はどうしても笑みがこぼれてしまうし、これを感じてしまえば、日常の大半のことはどうでもいいものになってしまう。文明社会での約束事なんてものは、「今日死ぬかもしれない」という常識の逆を求めた結果なのだから突き詰めればボロが出て阿呆らしくなるのは当たり前だが、豊かな社会を求めた結果、軽鬱もどきや自己啓発が流行るのだから皮肉にもならない。

 作品を創作しているときには生死の感覚を得やすいが、もっともっとと欲してしまうのは快楽主義でしかないのだろう。そう、もっとヒリヒリしたいのだ。

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