手入れ

2012.4.1日々のこと

道具の手入れが好きだ、それもアナログな道具がいい。雨のなか履いていた革靴の汚れを落とし、革が呼吸できるようにオイルを塗る。塗るというよりも革の疲れをとっていくマッサージのようであり、施術を終えた靴は深みを増す。
 
包丁を研ぐ。包丁というのは不思議であり、獲物を仕留めるための刃でも、争いのための武器でもない。素材を活かし、食を嗜むためのものだ。刃(は)が鈍くなっては素材を活かせず、いつのまにか殺していることになっている。そうならないためにも、包丁を研ぐのだが、一連の決まった動作を繰り返し、手に伝わる感触と目に映る刃のきらめきが終わりを導く。
 
この手入れは、個人の体や人間関係でも同じようなものだろう。手入れを怠れば、いつの間にか体の調子が悪くなっていたり、関係がこじれていたりする。けれども、手入れをやりすぎれば、革靴の革が呼吸できなくなってしまうように、体も心も不調をきたすだろうし、関係も息苦しくなっていくものだ。丁度いい具合が、一番いい。

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