Project 03: Agriculture Branding
Project 03: Agriculture Branding
自然栽培という共通点を持った二つの異なるプロジェクトにおけるブランディング施策をご紹介します。無肥料無農薬で作物を育てることは、障害者や子供たちにとっても、やさしい体験になり、新しいライフスタイルのあり方とも言えます。
受賞:日本タイポグラフィ年鑑:ロゴタイプ・シンボルマーク部門
2017年に江口自身も通っていた農業体験スクールのブランディングです。当初の依頼はホームページのスマートフォン対応でしたが、問題点の多さを考慮し、全体のリニューアルを提案しました。リニューアル後では、「楽しみながら健康を手に入れていく」ことをより身近になるように、クリエイティブコントロールをしています。
子どものいるファミリー層を対象としたサービスのデザインは、幼稚になりやすく、ユーザーを馬鹿にしたような印象にもなります。ソラシドスクールは幼児のいる家族でも参加できる農業体験ですが、みんなで協力しながら作物を育て、収穫を分け合うコミュニティでもあります。それは、未来の洗練されたライフスタイルを体現するデザインと言えます。
アイデンティティとして提案した「やさしいハタケ、おもろいヤサイ」は一見すると、言葉が入れ替わっているようにも見えます。しかし、肥料や農薬を使っていない優しい畑で農業体験ができるから、野菜作りが面白くなるという意味を込めています。不安になる材料がないからこそ言えるメッセージです。
無駄で余計な言葉という意味の「冗語」ですが、言語表現を豊かにし、文化発展に大きく貢献しています。この冗語の考え方をデザインに落とし込みながら、Webサイトの制作をしました。コンテンツを繋げるための手書きの線や区切り線、アイコンなど不可欠とは言えない要素は、ソラシドスクールの特長を暗に伝えることに役立っています。
障害者の月収平均1万4千円、日本の耕作放棄地約40万ヘクタール、健康被害を及ぼす農薬や肥料。これら三つの問題を解決する試みとしてはじまった「自然栽培パーティ」のブランディングを、独立前に手掛けていました。
個性の強い障害者福祉施設が集まっても親和性を損なわずに、むしろ求心力が増す仕組みのあるロゴを開発。自然栽培パーティのシンボルの中身を空白にすることで、各施設と所縁のある絵柄を入れることを可能にしました。後から参加した施設も、自分達の個性を発揮できることで使用頻度が上がり、施設が増えたときに賑やかで楽しげな様子を表すことができます。※自然栽培パーティのロゴの開発には、数人のデザイナーが関わっています。