廃棄予定だった商品を原材料にして、新たな商品を開発し販売するアップサイクル事業会社のロゴ制作のご依頼をいただきました。
企業名にもなっている「えん(Enn)」は、「縁」や「円」の意味から日本では使用されやすい名称であり、普通に制作しては使い古された表現に陥る恐れがあります(事実、当初はクライアントの方々もこの意味からEnnにしていました)。
そこで、他社と差別化をするために、「えん」と読む漢字をピックアップし、そのどれもが企業精神に当てはまることを確認し、これらを網羅するひらがなを敢えてロゴに用いています。
ひらがなのえんが分解し、変化することで、ひとつの丸(事業)を作り上げています。英語ではなく、ひらがなをシンボルに用いた理由は他にもあり、女性二人での起業を、紀貫之が女性に扮してひらがなで書いた『土佐日記』が、後の女流文学の発展に大きく貢献したことと掛けていたり、最初から世界のマーケットを視野に入れた事業であるため、ひらがなや家紋のように見えるロゴは日本発であることを伝えることに役立つためです。また、右肩上がりの躍動的なパーツにすることで、企業の成長も暗に意味しています。
ロゴタイプは、伝統的な手法である小文字を大文字の形にするスモールキャップスや、可読性を高める合字を用いることで知的な印象にしています。アパレル業界とも親和性の高いロゴタイプを開発し、伝統的な手法を用いることで、新しいけれど生活空間にすっと馴染むデザインにしています。
"Enn&CO"
2022
Role: Creative director / Art director / Designer
Client: Enn&CO Inc.
https://ennandco.co.jp/