論語

2012.7.31日々のこと

『論語』(訳注:金谷治、発行:岩波文庫)を読んでいた。読み始める前は、もっと説教くさい内容なのかと思っていたら、違っていた。その本の中に編まれていたのは、今の時代でも通用する、今の時代でも必要とされている事柄であり、しかも一遍が簡潔に記されていた。僕はビジネス書を読んだことが無いが、ビジネス書というのはこういうものを言うのではないだろうか? と唸ってしまったほどだ。
 
そして、短編が集まって編まれた『論語』に表れてくる孔子の人柄は、清く正しい完全無欠の仙人みたいなものではなく、喜び、望み、ちょっと意地悪な今の時代にもいそうな人だった。そして、この人の元で学んでみたいなと思わせてくれる人であり、「あの世」というのがあるのなら会ってみたい人が、また一人増えたのたのだった。
 
古典を読むといつも思うのだが、必要な言葉は既に書かれている。しかも、長い年月を経て残ってきただけあって、その中の言葉達は今の時代に編まれるものには出せない強靭さが備わっている。しかし、残ったことで培われる強さというのは、生きている瞬間には味わえないのだから、我ながら作り手というのは少々さびしい職業だな。

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