実際にあった想像力

2010.8.7日々のこと

 今日、三田から日吉までの電車に乗っているとき、隣に座っている女性に肩を貸していた。ただそれだけのことだし、僕もよく借りる。しかし、今日はちょっと違った。先に僕が端っこに寄りかかって寝ていたら、顔に「ふぁさぁぁ」と何かがかかる。眠さもあってはじめは気にしていなかったが、サワサワといつまでも触れてくる・・・ん? 左肩から左頬にかけての重みは? 目を開けると、ちょっと予測していたよりも完全に肩、というか体を貸しているじゃあないか(こういうこともけっこうある・・・油断しているのか?)。しかも、下は黒の無地で上は白の無地・・・僕と同じ格好で、眠り合うってバカップルか? と1人ツッこむ。しかし、「まぁいいか」と切り替え、急行に乗り換えるのを止め、そのまま肩を貸しながら普通電車で日吉まで行くことにした。その女性が途中で降りようが知ったことじゃあない。僕はこの女性が起きるまで肩を貸し続けようと決意したのだった。だがしかし、この女性、途中で起きる度にもとの姿勢に戻るのだから、何となくいけないと思っているのだろう。だとしても、毎度毎度、このもたれかたは尋常じゃない。むしろ心配になってくるほどだ・・・と思っていた矢先、逆隣のおっさんの方に行ってしまうじゃあないか?! なんだ、何なんだ、この気持ちは?! ガッビーン。失恋。いや、しかし、それでへこたれる私ではありません! この後は重たい内容のミーティングがあるのだ、その前に少しの和らぎをください!けれども、いたいけな青年をあざ笑うかの様に、左側の空虚感は増すばかり。おっさんに負けてから2駅ほど経ち、中学生並みの想いも薄れて惚けていると・・・ハッフーン!? もう体から入ってくるじゃないですか。中学生の時のアバンチュールから、19歳で再会したあの時の君、なんて艶っぽく、そして清楚に成長したんだ。この荒みきった廃墟の中に降り立った女神だ。そんなことを想起させる程の力を持つ、左隣の女性。一体この力はどこから来るのだろうか。疲れているのか? 本当に恋か? 妄想か? 仮想現実ってやつか? マトリックスとか、あっち側の世界か? 左から中心にかけて圧力を受け続けながら、そんなことを考えていたら、あっという間に終点の日吉駅に着き、流石にもたれかかっている女性を起こさないといけないと思ったので起こそうとした矢先、「シューテンでーす!!」と叫ぶ駅員。起こそうとしていた体勢から、おっとっとっとと、と体勢を直したので立ち方がきごちなくなる。女性も寝ぼけ眼で電車から出るのだった。駅員は最強だ。

コメントを書く