場所と企画

2010.1.22日々のこと

 広尾の旧フランス大使館で開催中の「No man’s land」と森美術館の「医学と芸術展」に行っていた。

 「No man’s land」の方は予想していたよりも広く、数が多く、しかし、廊下や1つ1つの部屋に作家が割り振られていて学園祭のようだった。(一般の人達が多いようで)混雑も合わさってその要素が高まり、いよいよ作品よりも人と触れ合うことの方が印象に残る。
 入場したらトイレに行こうと思っていたが場所がわからず、受付の方も場所がわからず、すると後ろから来場者のおじさまが教えてくれたり、綺麗な女性がイヤリングを落として気付かなかったのでそれを拾って渡したり、いつのまにか来場者に作品の位置をずらされていた(触られていた)小品物体の出展者が、その憤りを他の出展者に吐露している現場に遭遇したり(あの〜、鑑賞しに来たんですけど・・・)、来場者に服屋のような接客をしている出展者がいるなぁと思っていた矢先に「これ一体2000円なんですよぉ」と商売を始める現場に遭遇したり(君は何者だ?)、そして、作品として良かったなと思うものは暗闇の中にあるデジタルペイント(アニメーション?)の所謂、他の場所でも展示可能な作品であったりと、「展示をすることと企画を立てること」を考えるものになっていた。関係ないけれども、「ノーマンズランド」という映画のことも思い出していた。

 「医学と芸術展」では、博物館+美術館のような作りで、「なるほど」と思うようなところもあり、昔観た「人体の不思議」という展覧会を思い出していた。観察、調査、考察が癖なので、医術に関わらず何かを進歩させてきた流れというのはとても尊いことだと思ってしまう。しかし、医術の場合、単なる生命延長にすがる人間の形骸化は本末転倒だと考えてしまう。閑話休題、こういう企画の場合、医術知識と作品のバランスが難しいのだろう、展示を観ている間、美術館の役目というのを考えていた。作品としては、盆栽風のものが展示場所も合わさり、一番ウィットがあったように思われた。

 奇しくも、どちらの展示も場所に関わることを考えることになっていた。

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