幸運なことと悲しみ

2009.6.8日々のこと

秦雅則さんとの2人展「破壊する白 と 創造する黒」もあっという間に終了しました。

企画の話があがったのがおそらく昨年の12月ぐらいだったと思うけれども、打ち合わせの方にかなりの時間を割き、実質の創作期間は1ヶ月半ほど、そして2週間の展示期間は一息のうちに過ぎていったような速度だった。
2人展をする機会というのは他でもたくさんあったが、展示後の状況/状態/進退度というのが読めてしまい、なかなか開催に至ることはなかった。そんな訳で今回が初めて開催に至った2人展であり、来場者の反応も予想以上に良かった。これは直接的に「良い」ということでもあり、もう一方で、つまらない批判が少なく、良い批判つまり批評の類いの反応が見受けられたのは、良かったことだろう。

ただ、展示もそうだけれども活動を進めていくということでは悲しいものがやってくるのは避けられないことでもある。

たとえ名があったとしても、富を得ていたとしても、力を得ていたとしても、ひとの畑に来てまで無礼なことを意図せずにしてしまえている時点で反吐が出てしまう。そこに「悪気がない」という言い訳は通用しなく、商品をつくることに折り合いをつけることができないことと同様、それらに流されることができないことが現代社会において生きることができないのならば、僕は生きることに価値を見出せない。それを忘れてまで愛想笑いをし、媚び諂い、浮き足立てるほど、僕は人間ができちゃあいないし、そこまでして生きることに、そこかしこの環境に未練はない。やはり、最期っていうものが見え始め、一日一日っていうのが「残り時間を失っていく」と感じてしまうのは、そういうことなんだろうが、コレクターのN氏の行動に僕は信頼を感じる。

作家がいなくとも作品を手元に置こうとしてくれるその姿勢と行動に、僕は信頼感を向けてしまう。

そのような御方が作品と出会うというのはまさしくセレンディピティだと考えられるし、この展示期間中は展示会場以外の場所でもそのようなことが度々あり、素敵な時間を過ごせていたのではないだろうか。そして、偶然だが秦雅則さんとの出会いを作ってくれたUさんがこの展示を喜び、楽しんでくれたことや、同世代や異世代、領域外の作家・作り手たちや学生時代から期待してくれている評論家の方たちが喜び、楽しんでくれたことが、僕たちにとって最良の喜びだったように思われる。

そして展示が終ったいま・・・

さて、どこにいこうかな。

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