Archive for 2008.11

エントロピー

2008.11.10

今日、詳しくは昨日、大学時代の友と指し呑みをしていた。その人というのは、自分がこちらの道に進む前から自分のことを信じてくれていた人であり、数少ない僕が信頼している人のうちの一人だ。

そこで、プライドというものと信念というものの話にもなり、結局自分は「作品に従いながら闘い、共生していくこと」に作り手としての誇りを抱かなければいけないし、それ以外は出来ないという結論に至るということだ。おそらく、現代の流れに乗るような作り方をすれば、今以上に不自由しない暮らしが出来るのだろうが、それは一時の記憶には残るけれども、真理には到達できないだろうし、人類の記録、記憶にまで昇華できないのだろうと予測ができてしまう。そして「一時の」に走ってしまった現代美術が陥ってしまったのが、藝術の歴史上、最も質の低い状態にしてしまったのだと考えられる。エントロピーについて考えることが出来れば、容易に考察できることでもある。

だからこそ、自分はこのままでいるべきなのか、ということを考えてしまう。僕が残るのではなく、作品こそが残るような時代になって欲しいし、なるべきだと考えられる。

Sharpen Sense

2008.11.8

「ブックマークのお気に入りに入ってますよ!」というお言葉を頂いたので、調子に乗った自分は更新してしまう。鼻がね、ぐんぐんぐんぐん、伸びていくんですよ。

友から江戸川乱歩の本を借りたので読んだ。乱歩ファンの方々には大変申し訳ないのだけれども、以前、自分の作品を観た人から「乱歩みたいな作品だね」と言って頂いたことから、江戸川乱歩には親近感のような感情を持っている・・・あまり読んだことはなかったのだけれども。

内容が明らかになると不味いと思うので、書名は挙げませんが、痴情関係が理由に事件を起こすことにいささか疑問が残る。「まぁでも、普通はそうなのか?」と考えてみるが、何故か今回はあまり腑に落ちない。推理することを楽しみすぎて、それが終ってしまったという物悲しさも手伝っているのだろう。

本日、ちょっとしたことで地元に戻っていた。地元の空気が好きだ。駅前は整えられてしまったが、電車を降りた瞬間から皮膚に突き刺さってくる空気がある。先日友と呑んでいるときに「朝霞って乾いているよね」と言っていたが、かなり的を得ている言葉だと思った。「神経を磨がせ」と言われているような町の空気が好きだ。

「抜く」ということ

2008.11.7

メンテナンスのためだとかでメールチェックができない。そろそろ会社を変えようかとも思うが、もろもろ面倒くさいので・・・。

昨日は刺激的で不思議な出会いがあった。幸運にも幾人かの作品と作者の方々と出会うことができ、そこには作品と作者との対話(言葉)と確かな行動が存在していた。嬉しい出会いだった。
邂逅というとスパークが生じたような印象だけれども、マグマが生まれたような邂逅があった。自分は硬いが、「抜け感」を持ち合わせながら動けている人・作品との邂逅が昨日にはあった。

以前も書いたことがあるが、「抜く」というのは生温いということではなく、無駄な力みがないということで、それは動くにあたりとても重要になる(「手を抜く」と「抜く」というのは違います)。

昨日、「大琳派展」を観に行ってても感じていたことでもあり、そこに自ずと意識が向くことが、自分が日本人であるという特徴でもあるのだろう。

秦 雅則さんという方です。企画ギャラリー「明るい部屋」による活動もしているようです。

http://hatamasanorihata.ganriki.net/
http://akaruiheya.info/

光の文字

2008.11.5

どうやら先日の酒場でダニなどに喰われていたようで、以上なくしゃみ量の原因がそれではないかとわかる。

『中村桂子対談集 ゲノムの見る夢』を読みながら眠りに入ると、暗闇の中で対談が音声化され、暗がりの球体の中に浮かんでいるような感覚を抱いた。音声による言葉が、球体に光の文字として現れ、いつしか光の言葉たちに包まれている、という不思議な感覚だった。

指先の感覚

2008.11.4

今日もかわらず現像。完全暗室下ではなく、ダークバッグに腕をつっこんでフィルムをリールに巻き付けるやり方。完全暗室下で巻き付けると、(実際は見えていないが)見ている感覚があるのだけれども、ダークバックという布が二枚隔たっていると完全に視覚が遮られている。あるのは道具類がこの中にいるという意識と、指先の触覚のみ。しかも量が多い時はLPLのタンクを使用し、それは余計に巻き辛いために、指先への意識の向かわれ方は日常ではありえないほどのものになる。それと一秒に対する感覚も、普段とは段違いの差で高くなり、それは日常にも影響してくる。回ってくるのだ。

(10月24日の内容です)