Archive for the ‘ビジネスの健康’ Category

ビジネスの健康+心の健康+体の健康で不安を和らげるお手伝いをする。

2016.11.1

日本語の「過労死」は「KAROSHI」という英語になりました。私自身も過労死のことを考えることは多くなっています。100時間を超える時間外労働や心無い言葉。それは私も経験しました。人物の性格の良し悪しと知識労働生産性は必ずしもイコールではありません。知識労働生産性の向上は、向上させるためのスキルがあり、人格の問題ではありません(知識労働生産性を向上させた副産物として、人格が改善されることはあります。なぜなら、そちらの方が周囲のパフォーマンスを向上させることに気がつくからです)。つまり、知識労働生産性を上げることは誰でもできることであり、どんな会社でもできることです。
 
通常業務に加えて、社内の仕組みを変える提案もしていた勤務生活。「仕組みを変える提案」の場合は、ほとんどボランティアで動いていました。体を壊したことで「このまま会社に残っていては自分の人生の目標が果たせない」と気づき、仕組みの変わらない会社を辞めました。
 
知識労働生産性を高めるビジネスの健康、頭の中が晴れる心の健康、運動や自然栽培による体の健康。瞑想、ヨガ、自然栽培、グルテンフリーなどを勉強していて分かったことがあります。秘訣は悟り。自然であることです。不自然なものは不健康になり、不安を募らせます。
 
ビジネスにおける不安は「顧客を満足させられるのか? 」「上司や役員を説得できるのか?」「納期までに終わるのか?」など。心における不安は「自分の言動はおかしくないか?」「眠れるのか?」「苦しみがとれるのか?」など。体における不安は「太りたくない」「病気になりたくない」「老けたくない」など。ビジネスにおいても、心においても、体においても、不自然で不健康であれば不安は募る一方です。この仕組みは完全に決まっていて、だからこそ自由になれます。デザインもビジネスもやり方や理論が決まっていて、そのために、多種多様な企業が成功できているのです。生まれてすぐに腎臓病になった私が過労をしても鬱病にならなかった理由は、仕組みを知っているという悟りにあります。
 
私がデザインを仕事にする理由は、より多くの人に、知識労働生産性を高めてもらって、仕事のパフォーマンスを効率良く上げてもらうためです。私がアートを仕事にする理由は、より多くの人に、「こんな方法もあったか」と、いくつもの道があることをひらめいてもらうためです。私が自然栽培やグルテンフリーを薦める理由は、より多くの人に、体に良いものを摂ってもらうためです。ビジネスが円滑に進むとき、頭は冴えています。頭が冴えているとき、体は良く動きます。これはとても自然なことです。これらを広めるために、今の私はあります。
 
私がデザインを仕事にする理由:より多くの人に、知識労働生産性を高めてもらうため。
私がアートを仕事にする理由:より多くの人に、ひらめいてもらうため。
私が自然栽培・グルテンフリーを薦める理由:より多くの人に、体に良いものを摂ってもらうため。

 
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再現性を高めるアウェイクニングメモ。

2016.10.13

打ち合わせ用の資料を作るときや、戦略的パートナーとのちょっとした会話のときなどに「あの本に書いてあったものが使えるな」というようなことがあるだろう。そのような場合、書籍であっても、ネット記事であっても、記憶から「同じように引っ張り出せること」が生産性の高い会話への糸口となる。記憶から引っ張りだす方法が、時と場合によって異なっていると、どこにあった内容なのかを覚えている必要が出てきたり、もしくは、それらを紐づけている表が必要になったり(パスワード一覧表のようなものだ)、最悪の場合、情報が間違った状態で相手に伝ってしまうことも生じてくる。
 
人間の記憶というのは曖昧なものだ。ドイツの心理学者であるエビングハウスが行なった記憶と忘却時間との実験では、新しく覚えた記憶は1日で約74%を忘れてしまい、その後の1ヶ月で最初から覚え直さないといけないレベルになることを示している。この実験では「無意味綴り」が用いられており、ヒントを与えても思い出せない「完全忘却」と、ヒントを与えたら思い出せる「再認可能な忘却」を分けていないなどの指摘があるが、「自分にとって意味を持たせることで忘れにくくすること」も可能だといえる。
 
しかし、だからと言って「覚える量」を増やすのは容易ではなく、覚えるぐらいなら、脳が処理するスピードを上げたいのではないだろうか。ずぼらな私はそう思う。そこで、私が行なっているのは、メモアプリを使った記憶におけるアウェイクニングメモを作成することだ。書籍や文献、ネット記事でも、「使える」と思ったところをタイトルと一緒に、メモアプリに箇条書きにしたり、中略を交えて引用して記載することで、論文の参考文献欄を見ればその内容がわかるようなのと同じようにしている。ネット記事であれば、タイトルとURLさえわかれば十分だ。つまり、「忘れないように覚えておく」のではなく、「いつでも記憶から引っ張り出せるようにしておく」のである。
 

クラウドによる恩恵。

 
メモアプリを使う前は、本に付箋を貼って本棚にしまったり、kindleを使ったり、自炊(書籍のPDF化)を試したりもしたが、どれも「思い出す方法」がバラバラであり、本棚にある内容を目の前の人に話すことはほとんど不可能であった。Evernoteも試してもみたが、当時の私にとっては機能が多すぎて「メモに直接アクセスできて、もっと動作が軽くて、機能が制限されているツール」を探していた。その後、iPhoneとmacのメモアプリがクラウド上で同期をするようになってからは、純正のメモアプリを使ってアウェイクニングメモを作るようになった。
 
必要な箇所を書き出す作業によって、その内容が使われる際のイメージもつきやすく、知識を自分のものとして吸収しやすくなっている(意味を持って記憶するということだ)。内容を忘れてしまった場合も、メモアプリを見れば「どの記事のどんな内容だったのか」を思い出しやすくなり、会話や資料作成の再現性が高まっている。
 

本を紹介するということ。

 
また、ビジネスマンにおいて、「本を勧めること」や「本をプレゼントすること」は相手に興味を持っていたり、理解していることへの表れにも繋がり、戦略的パートナーシップを深めるきっかけづくりにもなる。そんなときに情報があやふやであったり、個人的な好みでしか勧めることができないと、仕事においてもそうであると勘違いされたり、プレゼンが下手と思われる可能性も出てくるだろう。友人関係においても、あやふやな情報を話す人として思われるているかもしれない。人に何かを勧めるというのは「あなたにとって、こんな理由でベネフィットがある」と説明ができなければ、紹介された人は動き難いのである。購買モデルが企業からの押し売りではなく、紹介(口コミ)と調査に変化した現代において、どんなタイミングでも忘却した記憶を呼び覚ますアウェイクニングメモはおすすめの方法だ。
 
 
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労働生産性を向上させるUXデザイン。

2016.9.29

SNSやスタートアップ企業が台頭し、日本でもLINEが普及したり、海外企業のサービスや商品が普及していくにつれて、UX(ユーザーエクスペリエンス:ユーザー体験)という言葉を聞くようになっているだろう。私も例外ではなく、UX:ユーザー体験を重視した提案をするのには、そちらの方が、企業にとってパフォーマンスが高くなるからだ。
 
「企業にとってパフォーマンスが高くなる」ということはどういうことだろうか? 「株価が上がった」「従業員の満足度が高い」「純利益が上がった」など細分化すればキリがないが、少々乱暴な言い方をすると、総括して「生産性が向上する」ということがいえる。
 
公益財団法人日本生産性本部が発表しているデータを見ると、日本の労働生産性は国際的に見ても低い。労働生産性の低さは1970年代から変わっておらず、昨年のデータでは主要先進7カ国中最下位であり、OECD加盟諸国中では21位となり、平均を下回っている。製造業においては主要先進7カ国中3位(OECD加盟国中10位)となっているが、オートメーション化が進む近い将来、人間の仕事に必要なスキルが育っていないことになるので、むしろ、喜べない事態だろう。
 
労働生産性だけがすべてではないが、生産性とは時間と利益の関係性であり、サービス残業・過労死とも関係がないわけではないので、見過ごしていい問題ではないことは明らかだ。
 

購買モデルの変容。

 
SNSやスマートフォンの台頭により、ユーザーは商品を購入する際に「調べる」ことが当たり前となった。商品自体の性能や評判、商品を作っている企業、競合などを時間をかけて多角的に調べるようになっており、購入するに値するかを査定している。それは大げさな企業コピーでもなく、押し売りのキャッチコピーでもなく、ユーザーにとって企業や商品が「信じられる相手」かどうかを判断しているともいえる。
 
その中では、企業目線の押し売りも「お客様は神様」のような過剰なサービス精神も必要ではないし、粗悪品を売ればその評価が拡散され、ユーザーは離れて商品もサービスも売れなくなる。つまり、今までの日本企業のやり方ではユーザー体験を満足させることができなくなっており、多くの企業が問題として手に余り、放置するか、どこかの広告代理店や制作会社に丸投げする事態となっている。しかし、丸投げされた方も「昔ながらのやり方」によって、ユーザー体験ではなく、自社の利益を求めるあまりに、UXデザインが効果的に機能していないのも事実だ。
 
そうすると、会社としての利益も下がり、労働時間も無益に増えることにつながる。いつまでも企業目線の押し売りをして利益が上がらないのは、ユーザーが物を買わなくなった時代になったのではなく、ユーザーにとって商品やサービスを購入するに値しないと判断されているのだ。
 

ユーザー体験にお金を払う時代。

 
このことは、ニュースアプリでも似たようなことがいえ、ユーザーにとって価値がある記事が集まるようになっており、情報サイトは記事におけるユーザー体験を無視することができなくなっている。たとえば記事に載っていたカフェに行ってみたら、サービスや雰囲気が良くなかった場合、その記事を書いたライターのその後の記事は信用度を失うし、そういったライターが多い情報サイトも信用を失って購読者が離れていき、ニュースアプリにも掲載されにくくなる。それは老舗であっても、スタートアップ企業であっても同じだ。
 
以前のビジネスモデルなら、競合他社を追い抜き、突き放したり、ユーザーに購入させる方法に目が向いていたかもしれない。しかし、現代のビジネスモデルでは、いかにユーザー体験を満足させるかであり、だからこそ、ユーザーにとって使いやすかったり、使った心地が改善されるような商品やサービスを提供する必要が企業には求められている。ユーザーのことを考慮した結果、自社の労働生産性が向上する仕組み。それがUXデザインになっている。
 
参考:公益財団法人日本生産性本部「労働生産性の国際比較2015年版」

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他者視点によるUXデザイン

2016.9.21

UXデザインの考え方が日本でも広まりつつあり、至る所でセミナーやセッションが開催されている。取引先などにUXデザインのことを話していると「UXデザインを効率よく学ぶ方法」を尋ねられることが増えてくるのだが、一番の近道は「できるだけ多くの他者視点を自分の中に持つこと」だろう。
 
正確に言うと、「できるだけ多くの他者の行動パターンを自分の中に持つこと」と言える。例えば、「コップの中に水が入っている状況」でのパターンを考えてみよう。
 
レストランで、自分のテーブルの上に水の入ったコップが置かれていたら、大抵の人は自分の水として「飲む」という行動をとる。しかし、その水が泥水のように見えたら「飲まずに放置する」もしくは「飲まずに水を取り替えてもらう」という、「飲まない」という行動をとりやすくなる。水に問題がなくても、コップに棘のような装飾がたくさん付いていたり、汚れていたら「飲まない」という行動をとりつつ、「取り替えてもらう」対象が「コップ」に変わるかもしれない。また、コップも水も問題ない場合も、時間が経ってコップに結露が付いていたら、「水滴を拭き取る」という行動が生まれるかもしれない。
 
パターンというのはこれだけではないが、これらはアフォーダンスと呼ばれる「環境が動物に対して与える行動への意味」であり、アメリカの心理学者であるジェームズ・J・ギブソンが提唱した概念である。
  
そして、UXデザインはこれらのパターンの中から、多数が選びやすいパターンをテスト・予測し、採択していく方法ともいえる。
 

ヒューストン空港の例

 
優れたUXデザインの例として頻繁に上がる「ヒューストン空港の手荷物引渡所」も、人間の行動から改善を加えた良きケースだ。
 
ヒューストン空港は以前より「手荷物引渡所の待ち時間が長い」と、ユーザーからクレームが絶えなかった。ヒューストン空港もスタッフを増員させるなどの改善策を試して、時間を短縮させることは成功したのだが、クレームの数は減らなかった。つまり、ここで肝心なのは「時間を短縮させること」と「待ち時間のクレームの数」は直結しておらず「待たない」ということが必要だということだ。
 
そこで、ヒューストン空港がとった策が「到着ゲートから手荷物引渡所への移動距離を伸ばす」という方法だった。するとどうだろう。到着から手荷物を受け取るまでの総時間は変わらないのに、クレームの数はほぼ0にまで減少したというのだ。空港到着後、以前なら「引渡所で待っている」時間を、ユーザーは自らの足で移動することで時間を使い、引渡所での「待ちぼうけ」の時間をなくしたのだった。
 
人間は行動しているときよりも、何かを待っているときの方が時間を長く感じる。それを利用し、不満をなくした例であり、UXデザインが効果的に働いているケースである。
 
ここでも例外はあるだろう。到着ゲートから全速力で走って引渡所まで到着したら、待ち時間が長くなるということはあるが、それは稀なケースであり、そういった例外まで含める距離にした場合、「移動距離が長すぎる」というクレームが発生しやすくなる。UXデザインとは、この例外をどこまで含めるかが成果の分かれ目でもあり、だからこそ、どれだけ多くのパターンとそのパターンの割合を考えられるかが肝になってくる。
 

パターンを考えるための思考トレーニング

 
UXデザインがパターンと割合をいかに考えつくかであると述べると、「年の功」や「経験の種類」を連想するかもしれないが、実際はそうではないので安心して欲しい。「経験の種類」は多いに越したことはないが、年の功は関係がない。100歳の方が50歳よりも優れたUXデザインを導き出せるかと想像すれば、これがあまり意味のないことだと分かるだろう。パターンとその割合で導き出せるのだから、問題解決の方法はアルゴリズムで解決できるものである。そのため、いつかはAIに取って代わる仕事であるが、まだ人間がやらなければならないので、世の中の全てを経験できない私たちは「想像」と心理学的・脳科学的な行動パターンによって、いくつもの他者を作り出す必要がある。
 
さて、肝心の方法だが、以前にインスタグラムで簡単に載せた方法を詳しく紹介しようと思う。
 
ステップ1:問題が生まれたり、人が何か行動をするときには、かならず「テーマ(命題)」が存在する。
ステップ2:まずは、テーマを「肯定的に話すA」が登場する。
ステップ3:次に、テーマを「否定的に話すB」が登場して、Aと議論をはじめる。
ステップ4:その次に「AとBの折衷案を出すC」が現れて、AとBの間をとる。
ステップ5:AとBの議論がヒートアップし、その間をCが取ることが続く。
ステップ6:すると、「現場をはやし立てるD」が野次馬として近寄ってくる。
ステップ8:DはAの味方にも、Bの味方にも、Cの味方にもなり、それぞれの意見を助長させて、現場が賑やかになる。
ステップ9:最後に「テーマと関係ない話をするE」が加わり、議論は思わぬ方向に発展しながら続いていく。
 
これを頭の中で繰り広げるのだが、Aというのは大抵の場合、自分自身であり、BとCと交わると自分が偏見の塊だといことに気がつく。一方でBはクレーマーであり、Aがそのまま進んだ場合のリスクとなる対象である。DはAやBやCの取り巻きや追従者であり、流行を作るのも、SNSを炎上させるのも彼らである。Cは賢者のように見えるかもしれないが、八方美人のようにもなり、全ての案を採択することはできないことに気がつく。実は大事なのは「関係ない話をするE」なのである。A・B・C・Dが真剣にやっていることも、Eから見たら興味のないことであり、だからこそ、視野が狭くなった当事者達の視野を広げることができるのである。
 
このAからEまでをビジネスに置き換えると、事業者・従業員・ユーザー・関係ない人(未開ユーザー)がどれでも当てはめることができ、Aが事業者ならBはユーザーや従業員になり、AがユーザーならBは事業者や従業員になる(もちろん、C・D・Eも変更可能だ)。そうすると、1人の頭の中で、多くの立場の視点を疑似経験することになり、パターンとその割合が分かるようになる。AIが人種・血液型・環境・年齢など多くの因子から事業パターンを生み出せるようになるまで、私たちは仮説やテストによってUXデザインを導き出すのだ。
 
 
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UXデザイナーが育っていない日本。

2016.8.29

最近、事業者やデザイナーたちと会い、協力させていただくことが増えていく中で、「日本ではUXデザインのスキルが育っていない」と気付いた。
 
UXデザインとは「製品やサービスとユーザーが関わったときに、ユーザー満足度を向上させるためのデザイン手法」と言える。今までグラフィックデザイナーやWebデザイナーとして経験を積んできた人達からすると「そんな当たり前なことを、今更何を言ってるのか?」と思うのかもしれないが、これが実践できていないことが多いのが現状だろう。
 
日本では海外とは異なり、デザイナーやディレクターが役割として存在しているのではなく、デザイナーとして経験を積んだ人が、その後、デザイナーの上司としてディレクターとして昇進する縦社会が当たり前になっているため、ディレクターを名乗っている人でも「UXデザイン」への習熟度は同じように低い。
 
では、「わかっているけれど、実践できていない」現場では何が起きているのか? ユーザー=顧客=クライアント(制作会社の顧客)という、「クライアント至上主義」が染み付いてしまい、本当のユーザーであるエンドユーザーよりも、クライアントの言ったことを叶える方に重点を置いてしまっているのだ。クライアントの言ったことを鵜呑みにし、叶えようとすることを何年も経験するうちに、エンドユーザーを置き去りにし、いつの間にか「クライアントが何を言っているのかわからない」ということさえ生じてくる。
 
しかし、広告でも製品でもサービスでも、エンドユーザーがそれらと接触するタイミングや、使用中のこと、リピーターとして使っているときのことを考えると、クライアントが気付いていない自社製品の長所を見つけることができる。そういった長所は、クライアントが「大したことはない」と思っていることが多いので、それを掬って形にし、ユーザーの満足度を向上させる接点へ導くことが、UXデザインになる。
 

カンヌライオンズ受賞作で見るUXデザイン

 
話は少し飛んでしまうが、国際的なデザインやプロジェクトの祭典であるカンヌライオンズも今年の受賞作が発表された。数年前までは優れた広告に賞が与えられるコンペティションだったが、近年では趣向が変わってきており、社会的に意義のあるプロジェクトに賞が与えられるようになってきている。今年でいえば「識字率向上を啓蒙するプロジェクト」や、「重度の呼吸器疾患に苦しむ人々が、1週間でアポロシアターにてコーラスを開催するドキュメンタリー」などが受賞している。
 
つまり、社会的にアプローチするプロジェクトに評価や関心が集まってきており、それを見たユーザーは、Webサイトなどでより詳しくプロジェクトや問題について調べるようになる。ここではユーザーは2種類存在し、プロジェクトのテーマになっている人々(識字能力がない人や呼吸器疾患の人)と、そのプロジェクトを見た人々である。
 
ドキュメンタリー映画「happy」でも取り上げられているように、生得的に人は、他者と協力することで幸福感を得られると言われている。そして、幸福感が長寿などの健康と結びついているというのも知られており、先のようなプロジェクトを見たユーザーが、プロジェクトに投資をしたり、プロジェクトを通さずとして対象となる人に協力したりすると、それでも幸福感は高まるということだ。同時に、そういった協力が増えれば、当事者であるユーザー(識字能力がない人や呼吸器疾患の人)にもプラスに働く。
 
実はこれもUXデザインが働いていて、ユーザーの満足度(=幸福度)を向上させることを手伝っている。プロジェクトの動画やWebの見た目も美しく、グラフィックデザインやWebデザインの手法が軽んじられている訳ではないが、ここでは医療や心理学、教育といった他のジャンルと言われてきた専門性も組み合わさっている。
 
一方で、デザイン部門でグランプリを獲得もした日本企業の受賞作を見ていると、今までのようにウィットを効かせたビジュアル押し、ドラマ仕立ての冗長な企業広告を未だに作っており、海外受賞作と並べると、そのズレは認めざるをえない。
 
これは、その広告を見たユーザーが何を感じ、その後、どのような行動をとって欲しいのかよりも、自社の価値を伝える方を優先させてしまっているためであり、「自社のイノベーション」「自社のドラマ」を押し付けている以外、何もない。受賞作に出ていた充電式電池だが、現に私は、電池を充電式に変えることにより、生活は変わったし、心理的にも随分ストレスは減った。つまり、電池を充電式に変えるというのは、優れたUXデザインになるにも関わらずだ。
 
今までのように、見た目の装飾をつくることに固執してしまえば、デザインはいつまでもグラフィックデザインやWebデザインのままだし、企業の伝えたいことを一方的に形にしてしまえばユーザーは離れていく。しかし、ユーザーとの関係性ということを考えれば、あなたのデザインはUXデザインに変わっていく。それを実践するためには、グラフィックやWebのスキル以上に、他のジャンルのスキルを吸収し、自分のものとしていく努力が必要である。
 
 
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メッセージに込めたもの。

2016.8.1

ホームページのトップメッセージを「How can I relieve your anxiety?」に変更しました。訳すと「どうしたら、あなたの不安を和らげることができるだろうか?」になります。「remove:取り除く」にしなかったのは、最終的に答えを決めるのは、不安を抱えている本人自身であったり、企業だからです。その不安は、「利益を上げることができるだろうか」「株価を上げることができるだろうか」「ユーザーを喜ばすことができるだろうか」「上司を説得することができるだろうか」など色々あります。
 
僕らができるのは、不安の根っこを見つけるのを手伝い、根っこから芽を出させ、花を咲かせようと形を作ることです。「こう育てると、こういう花が咲きやすい」という例を示すことや「こういう花の方が合っているんじゃないか」という提案はできるけれど、「どういう花を咲かせたいか」というのは不安を抱えている本人自身が決めなければなりません。
 
そして、不安が新たな不安を呼ぶように、案外、事業者自身や担当者自身が、根っこに気づいていなかったりします。はじめの頃は気づいていたかもしれないけれど、徐々に、新たな不安の方に注意が向けられ、根っこの部分を置き去りにしていることがあります。
 
僕らのような外部の人間だからこそしやすいのは、根っこの部分に再度スポットを当てるということ。そうすると、負の連鎖として新たに生まれた不安も、正の連鎖として解決できたりします。そして、根っこにある不安は、事業者や担当者が常に抱えるものであるのだから、その不安を和らげる方法を考え、形にするのが僕らの仕事です。そういう意味を込めて、「How can I relieve your anxiety?」というメッセージにしました。

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WORK RULES!を読んで。

2016.7.13

『WORK RULES!』を読了。事業の経営者も労働者も読んだ方がいい。ブランディングをしていて、特に事業計画に関わることになってくると、社内の透明性が低ければ、どんな施策をしようとも良い結果には結び付き辛いことを、いかに納得してもらうかが鍵となる。
 
社外に向けての仕組みづくりの方が、社内向けの仕組みづくりよりも派手に見えるのもわかるし、経営者が従業員を信じないのも、従業員が経営者を信じないのも理解できるが、透明性の部分を改善できない限りは、労力・金銭・時間・感情のコストが増えるばかりだということに気がついていないのだ。
 
「情報漏洩」が生じたり、世の中に「心ない人」がいるのも事実だ。しかし、どんなに気をつけていても情報漏洩を完全になくすことは不可能であり、大事なのは、情報漏洩が起きる可能性の脅威をどれだけ減らし、悪意ある攻撃に対処できているかだ。
 
そういった対策の上で、経営者と従業員が互いに信じ合うことができていれば、故意に情報漏洩をしようとする「リスク」と「コスト」をわざわざ選ぶことの方が馬鹿らしいことに気がつく。しかし、経営者と従業員がお互いに不信のまま経営者が対策を講じれば、従業員は自身への対策として受け取られ、故意による「リスク」と「コスト」を支払った先の「メリット」につられやすくなる。
 
つまり、何事にも、「透明性」が高まる仕組みを作ることの方が、事業計画における最大の仕組み作りでもある。
 
多くの経営者にいえるのは、世の中に必ずいる「心ない人」への対策としての仕組み(ルール)ができてしまい、やる気があって優秀な人材が辞めていく今までの流れを断ち切る方が、結果的にコストがかからないということだ。そのやり方や考え方の一つのサンプルが、『WORK RULES!』には書かれている(心ない人への対応についても書かれている)。
 
全ての経営者と従業員におすすめの書籍だ。もちろん、前会社の最終出社日に会った経営幹部や従業員に、私はこの本を勧めた。
 
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Wixを触ってみて。

2016.6.23

ちょっと時間ができたので、今まで気になっていたホームページエディタ「Wix」を触ってみた。URLにこだわりがなければ、実質0円で使用ができる。今まで、ホームページ制作といえば500万円以上というのが当たり前であり、案件によっては1000万円超まで膨らみ、小規模でも100万円近くに、見積もりを出さなくてはならなかった。
 
しかし、紙の広告が費用対効果として信用を失っていったように、「作っただけで爆発的な効果がある」というのは一種の幻想であり、ホームページも同様だ。
 
クライアントの商品やサービスのスペックが良いのが当たり前の現代、デザインが良ければ、いかにしてストーリーを伝えるかが肝となる。つまり、豪華なホームページを作って納品して完了ではなく、ストーリーを見つけ、適切な形で世の中に発信できるツールを作ることの方が重要となる。それが冊子なのか、サイトなのか、SNSなのか。名刺ひとつでも顧客(クライアントのお客)の反応は変えることができる。
 
そして、顧客と会ったときのクライアントの対応や見た目が、ストーリーを伝える最も有効な手段であることを理解してもらい、そのためのツールを作ることが、私たちの仕事の本質だと思っている。
 
結果として「Wix」はスモールビジネスには使えると感じたので、HTMLがわからないけれど納品後には触りたい、そして、ホームページ以外にも必要なものがあって、そちらにも予算を使いたいとき(大抵、必要なのだが)に、利用できるのではないだろうか。

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